【情報ご提供資料】 「ブラジル:S&Pが国債の格付けをさらに引き下げ」
: HSBC投信*** *** *** *** *** *** ***
ブラジル:S&Pが国債の格付けをさらに引き下げ
今後は財政再建計画の具体的な実行が信認回復の鍵にHSBC投信株式会社
2016年2月18日
▼S&Pはブラジル国債の格付けを引き下げ、外貨建て、自国通貨建てともに投資適格級を2段階下回る「BB」に、見通しは「ネガティブ」とした。直面する政治・経済の課題が大きいことが格下げの理由
▼今回の格下げについては、その時期は幾分早かったものの、市場はほぼ織り込み済みで反応薄
S&Pが国債格付けをさらに引き下げ 2月17日(水)、米大手格付会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、ブラジル国債の格付けを引き下げました。外貨建長期債務は「BB+」 から「BB」へと1段階引き下げ、自国通貨建長期債務は「BBB-」から「BB」へと2段階引き下げ、見通しは「ネガティブ(弱含み)」としています。
S&Pによるブラジル国債の格下げは昨年9月9日に次ぐもので、今回の格下げでは、外貨建て、自国通貨建てともに投資適格級を2段階下回る非投資適格級となりました。
現在、3大格付け会社では、S&Pとフィッチ・レーティングスがブラジル国債を外貨建て、自国通建ともに非投資適格とし、ムーディーズ・インベスターズ・サービスは投資適格級の最下位としています(下表参照)。
格下げの理由は直面する政治と経済の課題 S&Pでは、ブラジルが直面する政治と経済の課題が依然大きく、調整プロセスは長引く見込みとし、問題点として主に以下を指摘しています。
(1) 財政改革の実行力に関する短期的なリスク。議会でジルマ大統領の弾劾手続きが進められるなど、混迷する政治状況が財政再建計画を遅らせる可能性を高めていること。
(2) 景気見通しが悪化しており、今年もリセッション(景気後退)が続く見込みであること。S&Pでは、実質国内総生産(GDP)成長率は、2015年は-3.6%と見込み、2016年も3%程度のマイナスに落ち込み、プラスに転じるのは2017年と予想。
見通しを「ネガティブ」にした理由としては、政治情勢の混乱と経済の低迷により、さらに格下げとなる確率が3分の1以上あると見られることを挙げています。但し、政治的不透明感が後退し、一貫した政策の遂行が期待できる状況になれば、見通しを「安定的」に引き上げる、ともしています。
一方、プラス面として、S&Pは予想より早い対外収支の改善を挙げています。同社では、2016-2018年の経常収支赤字の見通しを対GDP比2%程度とし、対内直接投資が経常収支の赤字を十分に補うものと見込んでいます。
市場はほぼ織り込み済みで反応薄 今回のS&Pによるブラジル国債の格下げは、その時期は幾分早かったものの、ある程度織り込まれていたことから、市場は反応薄でした。市場では、むしろ中国の新たな景気対策の可能性や原油価格の反発が好感され、17日(水)のブラジルの代表的株価指数であるボベスパ指数は前日比+1.7%と上昇、4年物国債利回りは0.15%低下(価格は上昇)、為替は+1.9%の米ドル安・レアル高となりました。
ブラジル財務省は、格下げ報道後の声明で、財源確保のための連邦歳入分離法(DRU)の期限延長、金融取引暫定納付金(CPMF:いわゆる小切手税)再導入のための法案成立を目指すとともに、中期的な歳出抑制を目的に、社会保障改革法案を4月までに議会に提出すると発表しました。今後は、財政再建に向けた計画の具体的な実行が市場の信認を回復する大きな鍵になるものと見られます。
*** *** ***
当資料は、投信委託会社が投資者の皆さまへの情報提供を目的として作成したものであり、特定の投資信託等の売買を推奨・勧誘するものではありません。