【マーケットレポート-米国】
米米国経済と株式市場の見通し
景気は緩やかに拡大、株価は収益増を織り込む展開へ【デイリー】
:三井住友アセット(PDF版はこちらをご覧ください。 784KB)*********************************
米国経済と株式市場の見通し
景気は緩やかに拡大、株価は収益増を織り込む展開へ 【デイリー】2017年4月25日
【ポイント1】成長率は再加速の見通し
物価は安定、緩やかな利上げを継続へ(1)景気動向
■米国のアトランタ地区連邦準備銀行が、リアルタイムの経済成長率を捉えるために開発した経済モデル「GDPナウ」によれば、2017年1-3月期の米実質GDP成長率は前期比年率+0.5%と、前期の同+2.1%から大幅に鈍化したもようです。
■個人消費が伸び悩んだうえ、16年後半に積み上げた在庫の調整を余儀なくされたためです。ただし、個人消費の鈍化は暖冬という天候要因によるところが大きく、良好な雇用・所得環境という基礎的な条件が崩れたわけではありません。
■天候要因が一巡する4-6月期以降、米国の景気拡大ペースは再び速まる見通しです。17年の年間成長率は前年比+2.1%、続く18年は同+2.4%と、16年の同+1.6%から加速すると予想されます。
■トランプ次期大統領の提唱する公共投資の増額や個人所得税の減税といった経済政策は、早ければ17年10-12月期頃から始動する見込みです。
(2)物価・金融政策
■景気拡大の持続により、物価上昇率も高まると考えられます。ただし、(1)企業がコスト管理を徹底しているため、賃金の上昇ペースが緩慢である、(2)ドル高の影響により輸入品の価格上昇が抑制されるなどから、物価上昇率が連邦準備制度理事会(FRB)の目標値である+2%を超えてくるのは、
18年以降になる見通しです。
■景気の順調な拡大を背景に、FRBは今後も利上げを継続すると予想されます。ただし、物価が落ち着いていることから、年内の利上げは今後、年央と年末の2回、合計0.50%程度と考えられます。
【ポイント2】足元の企業業績は堅調
エネルギー、金融の寄与が大きい■S&P500種指数採用企業の2017年1-3月期決算は前年同期比+11.0%(トムソンロイター集計4月24日付)となったもようです。16年10-12月期の同+8.0%から伸びが加速したと見られます。
■セクター別では、「エネルギー」が同+557.2%と前期(同+5.5%)から大幅な増益となったほか、素材も同+14.9%と前期(同+7.1%)を上回る見込みです。原油価格など資源価格の持ち直しが寄与しています。
■「金融」は16年7-9月期に同+8.5%とプラスに転換した後、17年1-3月期では同+18.8%と増益率が拡大したと見られます。米国の金利水準が正常化する中で収益の改善が進んでいます。
■「情報技術」はグローバルな景気拡大により輸出が持ち直しつつあることや、ドル高の一服などから増益が見込まれます。
【今後の展開】株価は景気・企業収益の拡大を織り込む展開が見込まれる■米国株式市場は、S&P500種指数で3月1日に史上最高値を更新しました。その後は高値圏での揉み合いとなっています。利益と株価との関係をみ
た株価収益率が18倍台と、過去と比較してやや高い水準にあることを踏まえると、バリュエーションの拡大は期待しにくい状況にあると考えられます。
■もっとも、(1)米国をはじめとするグローバルな景気の拡大基調に変化は見られない、(2)米国の企業業績は17年、18年と堅調に推移する見通し、(3)トランプ政権の財政政策が17年10-12月期に発動されると予想され、17年の企業業績にも上振れの余地があるなど、米国企業収益を巡る良好な環境に
大きな変化はありません。年後半に向け、業績の拡大に沿った上昇が期待できると思われます。
*********************************
当資料は、投信委託会社が投資者の皆さまへの情報提供を目的として作成したものであり、特定の投資信託等の売買を推奨・勧誘するものではありません。