【マーケットレポート-ブラジル】
ブラジル:テメル大統領に不祥事隠ぺい疑惑が浮上
: HSBC投信*** *** *** *** *** *** ***
ブラジル:テメル大統領に不祥事隠ぺい疑惑が浮上
18日(木)のブラジル市場は株式・債券・通貨のトリプル安HSBC投信株式会社
2017年5月19日
▼ テメル⼤統領に新たな汚職疑惑が浮上し、18日(木)のブラジル市場は株式・債券・通貨が大幅安
▼ 当面、ブラジル市場は政治的不透明感の⾼まりから不安定な展開となる可能性。但し、経済ファンダメンタルズは着実に改善しており、中⻑期的には引き続き有望な投資対象と⾒る
テメル⼤統領に新たな汚職疑惑が浮上▼ 昨日18日(木)のブラジルの⾦融市場では、テメル⼤統領に不祥事隠ぺい疑惑が浮上する中、株式、債券、通貨のトリプル安となりました。同日のボベスパ指数は前日⽐-8.8%、4年物国債利回りは1.77%上昇、通貨レアルは対米ドルで-7.0%、対円で-6.5%となりました。
▼ 17日(水)夜、現地紙「オ・グロボ」は、テメル⼤統領が、クーニャ元下院議⻑への口止め料支払いを承認する会話内容を録⾳したテープを、食肉加工会社JBS幹部が最⾼裁判所に提出した、と報じました。現地紙では、クーニャ氏はテメル⼤統領が関与した疑いがある汚職スキャンダルに関する情報を握っていた可能性がある、と報じています。なお、クーニャ氏は今年3月にマネーロンダリングなどの罪で起訴されています。
ブラジルの政治的不透明感が再び高まる▼ この報道を受けて、一部野党議員はテメル⼤統領の弾劾や辞任を要求しています。これに対し、同⼤統領は今回の疑惑を強く否定する声明を発表し、辞任する意志がないことを表明しました。クーニャ元下院議⻑もこの疑惑を否定しています。
▼ 今後、仮にテメル⼤統領が辞あるいは弾劾に追い込まれた場合、現⾏憲法下では、下院議⻑が⼤統領代⾏となり、その後30日以内に国会議員による⼤統領の間接選挙が実施されます。⼤統領候補は被選挙権を持つ国⺠なら⽴候補が可能ですが、議員から候補者が出るとみられています。新たに選出される⼤統領の任期は現⼤統領と同じ2018年12月までとなります。
▼ 本来の国⺠の直接投票による次期⼤統領選挙は2018年10月に予定されており、2019年から新政権が発足します。2018年の⼤統領選挙を前倒しすべきとの声もありますが、そのためには憲法改正が必要となり上院・下院の承認を経ることになります。
▼ 一方、2014年の前回⼤統領選挙でのジルマ・ルセフ⼤統領、テメル副⼤統領候補の当選無効に係る訴訟も現在進⾏中であり、メンデス⾼等選挙裁判所(TSE)⻑官は6月6日に審理を再開するとしています。これもテメル⼤統領の解職に繋がり得る動きとして注目されます。
当社の見方〜当⾯は不安定な動き、中⻑期的には引き続き有望な投資対象▼ ブラジルの⾦融市場は、政治的不透明感の⾼まり、また現在テメル政権が推進している社会保障改革の進捗がさらに遅れる可能性から、当面、不安定な動きになると考えます。
▼ しかしながら、ブラジルでは、(1)景気の底打ち、(2)インフレ率の⼤幅低下、(3)⼤幅な利下げ余地、など経済ファンダメンタルズは着実に改善しています。また、ブラジルにとり財政改革とその重要な柱である社会保障制度改革は不可避であり、政情が安定化すれば、現在下院で審議されている社会保障制度改革案についても成⽴する可能性が⾼まります。当社では、中⻑期的にはブラジル市場が有望な投資対象との見方を変えていません。
▼ 株式市場については、当面の不安定な相場展開は、新たな投資機会を創出するとも見ており、有望銘柄に関しては組⼊⽐率を⾼めることを考えています。収益性とバリュエーションの両面で妙味のある銘柄に焦点を当てた投資を続ける⽅針です。
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